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静岡地方裁判所 昭和60年(わ)258号 判決 1985年6月25日

本店所在地

静岡県焼津市栄町五丁目九番三号

株式会社橋本組

(右代表者代表取締役 橋本勝策)

(右同 橋本音吉)

本籍

同 市栄町五丁目一六〇番地の四

住居

同 市塩津一三九番地

会社員

橋本喜史

昭和九年五月一九日生

右両名に対する各法人税法違反被告事件について、当裁判所は、検察官杉本一重・同小杉雄二出席のうえ審理し、次のとおり判決する。

主文

被告会社株式会社橋本組を罰金二〇〇〇万円に

被告人橋本喜史を懲役一年に

それぞれ処する。

被告人橋本喜史に対し、この裁判確定の日から三年間右懲役刑の執行を猶予する。

理由

(罪となるべき事実)

被告会社株式会社橋本組(以下単に被告会社という。)は、静岡県焼津市栄町五丁目九番三号に本店事務所を置き、土木建設工事請負等の事業を営むもの、被告人橋本喜史は、被告会社の代表取締役として同会社の業務全般を統括していたものであるが、被告人橋本は、被告会社の業務に関し、法人税を不正な方法により免れようと企て、

第一  昭和五七年二月一日から同五八年一月三一日までの事業年度における被告会社の実際所得金額が四億九八六二万二七五円(別紙(一)の1修正損益計算書及び同(一)の2ほ脱所得の内訳明細書参照)で、これに対する正規の法人税額が二億二九四万八四〇〇円(別紙(二)脱税額計算書参照)であるのにかかわらず、公表経理上期末未成工事支出金を除外するなどの方法により所得を秘匿したうえ、同年三月三一日、静岡県藤枝市青木二丁目二番三三号所在の藤枝税務署において、同税務署長に対し、右所得金額が三億八六七三万九一九六円で、これに対する法人税額は一億五三〇二万九〇〇〇円である旨の虚偽の法人税確定申告書を提出し、もって不正の行為により被告会社の右事業年度の法人税額四九九一万九四〇〇円を免れ

第二  昭和五八年二月一日から同五九年一月三一日までの事業年度における被告会社の実際所得金額が六億一七一万三二六九円(別紙(三)修正損益計算書参照)で、これに対する正規の法人税額が二億四七〇九万三七〇〇円((別紙(四)脱税額計算書参照)であるのにかかわらず、前記と同様の方法により所得を秘匿したうえ、同年三月三一日、前記藤枝税務署において、同税務署長に対し、右所得金額が五億三五二九万五七七三円で、これに対する法人税額は二億一七八二万六一〇〇円である旨の虚偽の法人税確定申告書を提出し、もって不正の行為により被告会社の右事業年度の法人税額二九二六万七六〇〇円を免れ

たものである。

(証拠の標目)

判示全事実について

一  被告人橋本善史の当公判廷における供述

一  被告人橋本喜史の検察官に対する供述調書二通

一  被告人橋本喜史の大蔵事務官に対する質問てん末書五通

一  杉森弘已及び杉本直の検察官に対する各供述調書

一  杉森弘已(六通)、高根志のぷ、岩本文雄、橋本勝策、杉山睦(二通)及び橋本佳子の大蔵事務官に対する各質問てん末書

一  検察事務官作成の報告書二通

一  大蔵事務官作成の証明書(記録証第七九号と記載のあるもの)

一  大蔵事務官作成の査察官調査書七通(記録書第八四号、同八五号、同八六号、同八七号、同八八号、同八九号及び同九〇号と各記載のあるもの)

一  商業登記簿謄本及び同写し

判示第一の事実について

一  児玉忠士及び勝亦満の大蔵事務官に対する各質問てん末書

一  大蔵事務官作成の「脱税額計算書」と題する書面(記録証第九一号と記載のあるもの)

一  大蔵事務官作成の証明書(記録証第七七号と記載のあるもの)

判示第二の事実について

一  平野一義の大蔵事務官に対する質問てん末書

一  中野麻江作成の上申書

一  大蔵事務官作成の「脱税額計算書」と題する書面(記録証九二号と記載のあるもの)

一  大蔵事務官作成の証明書(記録証第七八号と記載のあるもの)

一  大蔵事務官作成の査察官調査書(記録書第一〇八号と記載のあるもの)

(法令の適用)

被告会社の判示各所為はいずれも法人税法一五九条、一六四条一項に該当し、以上は刑法四五条前段併合罪であるから、同法四八条二項により各罪所定の罰金の合算額の範囲内で被告会社を罰金二〇〇〇万円に処し、被告人橋本喜史の判示各所為はいずれも法人税法一五九条に該当するので所定刑中いずれも懲役刑を選択し、以上は刑法四五条前段の併合罪であるから、同法四七条本文、一〇条により犯情の重い判示第一の罪の刑に法定の加重をした刑期の範囲内で被告人橋本喜史を懲役一年に処し、被告人橋本喜克に対し情状により同法二五条一項を適用してこの裁判の確定した日から三年間右懲役刑の執行を猶予することとする。

よって主文のとおり判決する。

昭和六〇年六月一四日

(裁判官 山本武久)

別紙(一)の1 修正損益計算書

自 昭和57年2月1日

至 昭和58年1月31日

<省略>

<省略>

<省略>

別紙(一)の2

ほ脱所得の内訳明細書

<省略>

(△は犯則所得の減を示す)

別紙(二)

<省略>

<省略>

別紙(三) 修正損益計算書

自 昭和58年2月1日

至 昭和59年1月31日

<省略>

<省略>

別紙(四)

<省略>

<省略>

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